インボイスによる内職への影響は?|軽作業・内職依頼は低コストで短納期の【手作業マーケット】箱詰め、シール貼りなど

2024/01/27 基礎知識

インボイスによる内職への影響は?

インボイスによる内職への影響は?

令和5年10月1日から、インボイス制度が開始されました。

インボイス発行事業者として登録し、課税事業者にならなければインボイスを発行することができません。
本来、免税事業者だった内職の方が、このインボイス制度を機に、課税事業者となる場合もあるでしょう。
本記事では、インボイス制度が内職に与える影響について解説しています。

インボイス制度とは?

消費税の課税事業者は、納付すべき消費税額の計算を行うとき、売上にかかった消費税額から、仕入等にかかった消費税額を差し引いて(=仕入税額控除といいます)算出します。
このとき、仕入等にかかった消費税額について、一定の事項が記載されたインボイスの交付を受け、保存しなければ差し引くことができなくなりました。

つまり、免税事業者からの仕入については、仕入税額控除が適用されないため、その分、消費税の納付額が増えてしまうのです。

そのため、取引を行う際、免税事業者からの仕入について見直すことが予想され、免税事業者が不利になる可能性が考えられます。

ただし、免税事業者からの仕入には経過措置が設けられており、3年間は仕入税額控除が80%認められ、そのあとの3年間は50%が認められます。いきなり全額認められなくなるわけではありません。

課税事業者と免税事業者

課税事業者とは、消費税を納付する義務がある事業者、免税事業者とは消費税を納付する義務がない事業者のことをいいます。
基本的に、課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の場合は免税事業者となりますが、1000万円を超える場合には課税事業者となります。

本来、内職を請け負っている人のほとんどが免税事業者であると考えられます。

内職を依頼する側

内職を依頼する側では、
免税事業者からの仕入は仕入税額控除ができないため、納付する消費税額が増えてしまいます。経過措置の80%、50%がある6年間があるものの、対策は必要です。

その対策として考えられるのは、次の3点です。

  1. ①相手に登録してもらい、課税事業者になってもらう
  2. ②取引の金額を交渉し、消費税額分を減額してもらう
  3. ③他の課税事業者に発注する

しかし、交渉の方法によっては独占禁止法・下請法に抵触するかもしれません。
問題となるのは、相手に対し、不当に低い価格を一方的に設定する、インボイス登録をしなければ価格引き下げや取引の打ち切りをする、と一方的に通告する、登録しないかわりに他の自社商品の購入を強要したり不明瞭な金銭の負担を強要したりする、といった行為です。

これらのルールは、免税事業者が不当な扱いを受けないように設けられていますが、仕入税額控除ができないことを理由にした取引価格の交渉はOKです。
双方が納得のうえで価格が決定されていれば良いのです。
また、インボイス登録を要請することはOKです。一方的、強要、不当、はNGです。注意しましょう。

内職を請け負う側

内職を請け負う側

内職を請け負う側は、ほとんどが免税事業者であると考えられます。
発注側との関係で、インボイス制度によりどのような影響を受けるでしょうか。
考えられる影響をまとめました。

①適格事業者として登録し、課税事業者となった場合

課税事業者となった場合、消費税の申告をする必要があります。
一定期間は、負担を軽減するための特例が用意されていますが、申告の手間はかかります。

また、納税しなくてはならないため、金銭的負担も発生します。
しかし、価格の減額を行う必要はなく、売上高は現状維持できます。

②価格交渉の末、売上が減少する

発注者側からすると、免税事業者からの仕入は仕入税額控除の対象とならず、消費税額が増えてしまうため、消費税相当額の値引き交渉が考えられます。
売上が消費税相当分減少しますが、消費税の申告・納税はしなくて済みます

③交渉の末、取引がなくなる

独占禁止法・下請法により、一方的に取引を打ち切られることは禁止されていますが、価格交渉などを行っても
双方が納得できずに取引を解消することも考えられます。
制度をしっかり理解したうえで、発注者との交渉を行うことが肝要です。

その他の注意点

これらの影響は、発注者が消費税の課税事業者で、原則課税である場合に発生するものです。
発注者が免税事業者である場合や、課税事業者であっても、簡易課税制度を選択している場合にはインボイス制度による影響を受けません。

消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税があります。
原則課税は、売上にかかった消費税額から仕入等にかかった消費税額を差し引いた額を納付する方法ですが、簡易課税は、みなし仕入率を使って計算するため、実際の仕入にかかった消費税額は使わない方法であり、インボイス不要なのです。

まとめ

インボイス制度による内職への影響を解説しました。
インボイスを発行することができないため、取引のうえで、免税事業者が不利になることが予想されます。
ただし、独占禁止法・下請法で免税事業者が不当に扱われることがないようにされています。
消費税の計算のしくみや、インボイス制度への理解を深めたうえで対応策を採ることが大切です。

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